なぜ、小学校教員は間違ったかけ算の教え方をしているのか?

以前から、「小学校でのかけ算には不思議な順序があり、(数学的には正しくても)テストでそれをすると❌になる」というのは噂話には聞いていた。
でも、それは「習ってない漢字をテストで使うと不正解になる」くらいの「みんな(というか授業の学習進度)に合わせましょうね」くらいの文科省的な「お約束」くらいに思っていた。

違ってました(汗)

Twitter でたまたま見かけ、そこそこ話題になったような気もするので、まとめておく。
印象としては「漢字の問題なんかより根が深い。(一部だとは思うが)小学校教員がかけ算(数学的には積算)の基本概念をあやまって理解しているため、この問題が生じている」ように感じた。

話題になっていた問題と(気の毒にも)Xにされてしまった回答(計算式)はこれ。


文章題という割には、イラストも使われていたりして、これを完全な「文章題」としてみなすかという疑念もふつふつと沸かなくはないのだが、それは置いておく。
この問題をより「文章題」らしくするとこうなるだろう。

問 「7個の飴が入った袋が4袋ある。4袋に含まれる飴の総数は何個か」

研究者やエンジニアなど数式を日常的に使う大人なら、ごく自然に(整数や実数では積に関して可換なので)と無意識に考えて

       4x7=7x4=28

と計算。あまり意識せず「28個」と答えるはずだ。このとき、計算式は 4x7 でも 7x4 でもどちらでもいいと。

ところが小学校低学年では、その考え方は間違っている、というのがざわついた原因。
不審に思ってよくよく聞いていくうちに、かけ算順序に関して驚愕の謎理論があることが判明して、さらにざわついた。
謎理論を簡潔に書けば
「a x b があったとき、単位がつくのは最初に出現するかけられる数 a のみで、答えもその単位になる」
ということらしい。

何だそれ(笑)

この謎理論と乗算に関する世間一般の理解に乖離があるのは、以下のツィートがよく表していると思う。



ただ、周囲の人たちがみんな不思議に思っていた(と思う)のは、「正しく単位をつければ、掛け算の順序はどちらでもいいことはわかるはずだし、そちらの方が便利なのに、なぜに小学校の教員は不自然な主張にこだわり続けるのか」ということだったと思う。

これは私も不思議に思っていた。

ここは、複数人で何かを話題にすることの利点だと思うが、ある人がこういうツィートをした。

元ツィートはこちら

私もこれが真相なんではないかと思う。さすがだ。エライぞ、所長おちさん。
問題に即して言えば、慣れている人は、7[個/袋]と当たり前のように「一袋あたりの」という意味で[/袋]という単位を頭で中で人類補完計画して計算すると思うが、ある種の人々はこれができないのではないかというのがこの指摘。

確かに調べてみると小学校で速さ[m/s]などが出てくるのは、高学年になってからのようです。小学校で低学年のみを教えている教員だと、この概念がすっぽり抜け落ちている可能性はあるかなあと思う。ある意味怖い。
特に、最初の問題の場合、「距離[m]」や「時間[s]」といった比較的馴染みやすい物理量の組み合わせからなる単位ではないわけだし・・・。この可能性はありそうですね。


ところで、算数・数学関係でいうと、「高校の数学なんて実社会で何の役に立つの?」というまるで高校数学に親でも殺されたかのような怨嗟の声をよく聞く(笑)。
なかでも槍玉に上がるのは「サイン・コサイン・タンジェント」でおなじみ三角関数やその基礎である三角比だ。
これに関しては、この(↓)一連の tweet が面白かった。

定期テスト前と思しき高校生とテック系ヲタのネット上での偶然の邂逅w
最後にはちゃんと正解にたどりついているのが半ば感動的。




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