電子カルテ自作派


W杯サッカーのキックオフまで時間があるようなので、ネットサーフィン。

こんなページを見つけた。

いやあ、電子カルテ完全自作派の方ってまだいらっしゃるんですねえ。なんか嬉しくなってくる。

(追記)現在は、リンク切れ。中小規模の医療機関向けの電子カルテって質も上がってるし、コスパもよくなっているので、あえて自作する必要性が薄れてきているんでしょうね。
それに加え、現在では、行政の電子カルテに対する要求水準は上がっており、地域によっては修正履歴の提出なども求められるようになった。(後述する増田版 OpenDolphin は、こういった地域では実質的に使用できない)


なお、こういうのは自作とはいわない。
ただのインストール作業。
たぶん、この先生、開業したら、いっぱいいっぱいになって、電子カルテ関係に手が回らなくなるし、データ移行で躓くと思う。
九州の知り合いのところに連絡入れておこうかな。

(追記)やはり、というべきかこれもリンク切れになってました(苦笑)。
OpenDolphin のサーバの Docker 版ってデータ取り出すのが面倒なんで、素人さんには長期運用はまず無理。というか元々そういう運用は念頭に置かれていない。あくまで評価用。




また、以前は頑張っていた和歌山増田内科の増田茂(医師)は OpenDolphin-m のことを「自分の著作物」と言ったそうだが、これは明らかに言い過ぎだろう。

(追記)今(2021年春)となっては増田さんが(当初考えられていたような)開発者だと認めている人は少数だろう。
メドレーに至っては、開発者扱いしていないって話だ。
個人的には『横から見た OpenDolphin』が興味深かった。
確かに増田さん自身、ある種の「契約」で関与していたって取られるニュアンスの話を自分でしてましたね。


"I 氏のブログ内容やメールのやり取りから、OpenDolphin開発元であるライフサイエンスコンピューティング(LSC)社とベンダー契約を結ばず、私が提供した資料とソースコードを素に、OpenDolphin をフ社の製品として販売しようとしているように感じられたため、彼とは距離を置き、以降情報提供を行わないようにした"(太字は筆者)

・・・もう、なんと言っていいやらって内容。
そもそも LSC (現在ではメドレーが開発元)とは契約を結ばずに商用利用している組織はある(具体的な代表例は MIA と SOSO の GlassDolphin)。
GPL でライセンスされたソフトを独自カスタマイズして商用利用するのは、一般的には許可されている。
何で、こんな言い方をするのが理解に苦しむ。

次に、「私が提供した資料とソースコードをもとに」という言い方。
こんなの GitHub のリポジトリを比較すれば分かる通り、猪股版 OpenDolphin(OpenDolphin-2.7m)は、増田版の直系ではなく

LSC OpenDolphin-2.7 の直接フォーク

導入方法は、『OpenDolphin 2.7(m) の Win10 へのインストール及びカルテデータの2次利用について等』で明らかにされているようにほぼ独自。
アプリケーションサーバである WildFly なぞ、バージョンアップ毎にソフトのデプロイ方法はちょっとずつ変更されているから、増田茂作成の古い資料がそのまま参考になることはない。
参考にしたとすれば、高東ソフトウエアさんの記事だし、そのことは記事内で言及し、(高東さんのデプロイ方法のうまくない点をそれとなく訂正した上で)高東さんには謝辞まで述べている。
あと「感じられる」だけで情報提供をストップするというのもすごいな。
これが原因でいわゆる「増田ファクト難民」が発生していたわけですね。
なお、実際のところは猪股先生は(わざわざ名称まで変えた OpenOcean の方を)商用ではなく無償で配布。後述するようなデータコンバートなど現地作業を伴う案件に関してのみ「手間賃程度」の謝礼を受け取っていただけだそうだ。
それはともかく、結局、これが仇になって、猪股先生は OpenDolphin-2.7m 系列を独自に開発(ご本人は「新規性はそれほどない。bugfix して、データ抽出と移行ツールに力を入れただけ」と言ってますがw いやいや本物の医療情報屋さんたちが頭を痛めているのはデータコンバートです。これとかこれとか)。


猪股先生自身が、後期LSCと共に使い物にならなくなった派生版のデータコンバートの後始末までやる、というある意味おかしな状況に突入してしまった。
控え目に言っても現在では、自力運用している組織では 2.7(m) 系列の方が主流になっていると思う。皮肉な成り行きだ。

まったくの印象なのだが、増田さんの言い方は全体的にいかにも素人っぽく感じられる。
ある程度複雑なソフトの場合、ユーザーの要求を完璧に満たすということはできない。
だから、技術系の開発者が既存のオープンソースのソフトに手を出す場合、改善すべき問題点が見えている人が、それを解決するべく開発・修正プロセスに入る。そしてそのプロセスが進むにつれ、プロダクトは元のソフトとは違ったオリジナルな特徴を徐々に有していく。
猪股先生の OpenDolphin-m 及び関連ツールはこのようなプロセスで生み出されたプロダクツなのだ。
結局、データ移行ツールOpenDolphin HTML/PDF Viewer などの独自性の強いソリューションは、増田茂はつくれなかった。
こういった展開が見えていなかったせいなのか、開発初期の段階では「パクリ」呼ばわり。
増田茂の主張は、それ自体失礼にも程があるし、モノづくりのプロセスがわかってない人の言い方のような印象を受ける。自己顕示欲に裏打ちされた過度の自己主張といったらいいんだろうか。
素人っぽいというのはそういう意味だ。

そして今では、増田さんと前期LSCの間に何らかの契約があり、その枠内で増田さんは「開発者」として取り扱われていたということがわかっている。

オープンソースプロジェクトでの「契約」ってのは何だかなあという感じですが。

また、これが、メドレーが実質的に GPL を撤廃できた理由かもしれない。
こういった仮説だ。
増田茂が著作権表記権を前期 LSC から何らかの対価で取得していたが、事業譲渡に伴いこの契約が消滅。コードを書いた(提供した)という意味では、増田茂にはほとんど実績がないから、譲渡前のように自分が提供したと称するコードに関する権利を GPL 的にも著作権的にも主張できない。
だから、著作権を完全に有しているメドレーが、増田茂のことを気にする必要はない、というのがその理屈だ。

(追記2)最近(2022)twitter 上で話題になったのは omcake というプロジェクト。
私もちょっと興味は持ったのだが、現状だと使えなさそう。
そもそも「(公開されている) OpenDolphin の Java のバージョンが古いので、新たなオープンソースの電子カルテのプロジェクトを」みたいなノリで始まったようなのだが、Java のバージョンアップに対応させている施設はけっこうある。
それすらできてない人たちが集まったところで何か意味のあるものが生まれるんだろうかという疑問はすぐに思い浮かぶ。
また、半田病院の例の件が開発のモチベーションの一つになっているようだが、それだったらセキュリティ的に重要なところ(例えばログイン認証の仕組みなど)はオープンにする必要はない。そこだけバイナリで提供するのだったらまだわかるんだが。
開発言語が PHP (スクリプト言語)のみだとするとバイナリで提供するってこともできないし。。。
現状だとちょっと何がやりたいかわからない。

(追記2−1)そうこう言ってたら、air-h-128k-il さん、あっさりログインのやり方を提示
内容から察するに dolphorca (WebDolphORCA) の中間サーバ(front-end server)の流用でしょうか。






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